宇賀田直人 デザイン

この夏も『MOMATコレクション』、そして藤田嗣治特集

zakki
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昨年すっかり魅了された東京国立近代美術館の常設展『MOMATコレクション』。今年も楽しみにしていた「誰がためにたたかう?」は8月に足を運び、前回にも増してその内容に深く感銘を受ける。日本画セクションにすら据えられた戦争画の構成や各作品キャプションからも伝わってくる担当学芸員の熱意こそ、美術館の力であるとも強く思う。奇しくもこの夏に安保法制問題が紛糾していたこともあわせ、多くの人にとって近代美術から戦争と歴史について考えを膨らませるカンフルにもなっていたであろう。通年企画として、なんて思うのは我が儘だけれども、この季節の恒例として続いて欲しい。

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吉岡堅二「椅子による女」(1931)。今年、最も惹きつけられたのは吉岡堅二によるいくつかの日本画作品。勉強不足のまま歳を重ねてしまっても、ふと気になる機会ができたり、蒸し暑い夏の日に空調の効いた広い空間でこんなにしっとりと美しい作品を鑑賞できることはとても気持ちが良い。

その時にもいくつかの作品展示があり、予告も目にしていたので9月から開催の「特集:藤田嗣治、全所蔵作品展示。」にももちろん足を運ぶ。大きなキャンバスに描かれた戦争画14点という数からもたいへんな見ごたえ。特に戦争後期の作品群は誇張を恐れない画面構成に加え、全体が非常に低い明度のトーンで占められ図録などでの製版印刷ではなかなか再現しづらく、鑑賞でしか得られないものばかり。

真面目にふむふむと足を進めていたら「Soldier rescuing Indonesian civilians」(1944) で、テーブルの上に描かれたウイスキーボトルOld Parrをみつける。世界の絵画でラベルが判別できる初めて描かれたスコッチウイスキーは何だろう?と調べてみたくなったのは、昨年末からすっかりスコットランドと日本のウイスキーのとりこになっているせい。

当時の雑誌での発言も丁寧にフォローされていて、その国家と戦争への姿勢を考えると作家以前に一個人としてなんだかなあという感覚をまたもや抱く。しかし常設展全体としては10室での靉光による「眼のある風景」(1938) など作品数点が、藤田の作品や言葉と対比させているように感じられ、少しだけホッとするような気持ちになった。特集展示は2015年12月13日まで。

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簡易なカタログ。フライヤーやカタログのメインビジュアルで採用されている写真を踏まえて、2Fエレベーター前でいつもクスっとしてしまう田中功起の映像インスタレーション作品を見るのも面白いと思う。

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田中功起「一つのプロジェクト、七つの箱と行為、美術館にて」(2012) を食い入るように観ていた女の子。

『映像の世紀』と『MOMAT コレクション』展の偶然

zakki
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少し以前にTwitterでやりとりがあって調べてみたら自治体の図書館に所蔵されていることがわかり、1ヵ月くらいかけてコツコツ借りていた『NHKスペシャル 映像の世紀』をようやく全て観終える。1895年ルイ・リュミエールによる「工場の出口」から始まる世界を記録する映像の歴史。NHKと米ABCの共同制作による全11巻14時間弱、20世紀の戦争と戦争に至るまでの経緯、およそ80年程が全て記録映像で振り返られる大作ドキュメンタリー。よく観られているのであろう4巻「ヒトラーの野望」と5巻「世界は地獄を見た」はDVD盤自体がボロボロになっていました。

今まで不勉強だった部分があらためて勉強になった第一次大戦から第二次大戦への経緯、第二次大戦後から冷戦時代の経緯。また、古くチリチリとした映像でこれでもかと写し出される戦争が始まる前熱狂し傍観していた/そうさせたのは誰なのか、そして民族や国に絡めとられた悲劇の繰り返しからは、今の時代と重なる部分も数えきれないくらい連想させられる。これら史実映像は視聴者へ「考えなければならない」のは当たり前の上で「どう行動すべき」かを猛烈に突きつけ、また史実そのものが未来へ向けた回答として映像を描いているのでは、というパラドックスのような考えすら浮かびます。

画面比がまだ4:3だったり、正直笑ってしまうくらい壮大なテーマ音楽やサントラからは制作された90年代の空気も感じられます。収録構成されているのはフォークランド紛争、湾岸戦争、311、東日本大震災以前でこのアーカイブ以降、変化している戦争や事件の「絵」は将来どのように振り返られるのでしょうか。

また11巻「JAPAN」を中心に市井の人たちの服装や不思議そうにカメラを見つめる表情など、当時の暮しの一端が垣間見えて面白い箇所も沢山。中学の社会の時間で見れたりしたら良かったな、残酷な映像も少し出てくるけど。学びのたいへん多い現代史教材でもあると思います。

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そんなこともあまり頭に無く、あくせくと動いていた日曜日、別の展示を楽しみに足を運んだ国立近代美術館が運良く無料鑑賞日で『所蔵作品展 MOMATコレクション』が開催中。「それじゃついでに…」と特に期待もなく覗いてみるとこれが偶然『映像の世紀』とシンクロするかのような展示構成と認識し、強烈な鑑賞体験となりました。

膨大な展示数の中2から8室では、関東大震災から戦争に突入していき、終戦を迎え「もはや戦後ではない」高度成長期を経て、Chim↑Pomの福島第一原発事故を題材にした作品「REAL TIMES」までの、20世紀日本美術をテーマ分けして時代を辿る構成。画家や美術家たちが時々の状況に対しどういう作品を作り何を投げかけていたのか、を丁寧に解説されたキャプションとあわせ時間軸の流れに沿う形で鑑賞できます。キャプションは作品背景を理解するための手助けになり、じっくりと読みながら観ていきました。

デザインや写真、映像作品も少し。亀倉雄策による有名な東京オリンピックや札幌オリンピックのポスターも、これと並べて展示されています。

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「原子エネルギーを平和産業に!」1956年、シルクスクリーンで作者寄贈。額装され映り込んでいるのはちょうど対面に展示されていた岡本太郎による原爆にさらされる人をテーマにした作品「燃える人」1955年。(展示作品は一部を除き撮影可、ネット上に大っぴらに公開するのは躊躇しますがこれだけは)

美術館所蔵作品展ですが、この構成は8月24日までの開催です。観覧料もお手頃、次の無料観覧日は8月3日で、同時に開催されている『美術と印刷物 1960-70年代を中心に』展(こちらが当初の目的)も小規模ながら「流石美術館のアーカイブはすごい…」と思わせる内容、3回展示替えがあるとのことでおすすめです。また企画展『現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展』も良い評判を耳にしているので近日中に再訪しようと予定しています。

現在の政治状況とどうしても連想せざるを得ない『映像の世紀』と『MOMAT コレクション』の偶然が重なった二つの体験でした。

音楽のはなし – Bibio

zakki
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イギリスのミュージシャン/プロデューサーStephen Wilkinsonさんの1人ユニットのBibio。2009年Warpレーベルから出たアルバム『Ambivalence Avenue』と2011年『Mind Bokeh』がとても素晴らしく、もっと早く知っておきたかったなと思いながら繰り返し愛聴しているこの頃。

サンプリングのループやブレイクビーツにフォーキーなギターと歌を合わせ、音像はざらっとさせる。以前より大好きなToro Y Moiに共通するような好みのツボ…と思いながら検索して出てきたこちらの記事 [INTERVIEW] Bibio | Monchicon! を読んでみたらToro Y Moiの名前が出てきて、さらにインタビュー途中で90年代のフレンチ・ハウスシーンからの影響についても語られていて嬉しくなる。

いいな〜SP-1200でポチポチやってる。SP-1200は特有のローファイな出音で有名なヴィンテージのサンプラー、ドラムマシン。Bibioの音像もこのマシンに因るところが大きいのかな。

こっちは庭で道具の音をサンプってポチポチ。奇才マシュー・ハーバートの別名義Doctor Rockit 『The Music Of Sound』みたいだゾ。

ギターをポロロン。こういうのがないと興味沸かなかったし、自分よりは若いと思うけど年齢不詳なルックスもたまらない。来日することがあるのかな、ライブでも聴いてみたいです。

音楽は素晴らしい

zakki
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震災後、歌を歌う人、楽器を演奏するミュージシャン、レコードをかけてくれるDJ、多くの知識を持った音楽に詳しい人…音楽に関わる多くの方々が、それぞれの多くの音楽を届けてくれています。被災された方々にはもちろん、被害の無い人々もこの一週間で余震等の不安やテレビやインターネットの情報洪水のような状態、人心はどうしても荒れて、疲れてくる。そんな時にしばらく遮断して音楽だけに耳を傾けると、空想が広がり、他者を想い、少し寂しい気持ちにもなったりするけれど、心が落ち着き、元気を貰えること。この機会にあらためて言うまでもないが「音楽は素晴らしい」と実感することが出来ました。

この一週間で繰り返し聴いて、自分が元気を貰えた音楽を出来る得る限り以下に記す。今後も新しく感じる音楽があれば追記もしていこうと思う。


Prefab Sprout / Let’s Change The World With Music
http://www.sonymusic.co.jp/Music/International/Arch/ES/PrefabSprout/
実質ヴォーカルでソングライターのパディ・マクアルーン一人のバンドとなったプリファブ・スプラウトの2009年にリリースされたアルバム。歌詞も、メロディも、アレンジメントも、リリース当時よりも力強く鳴り響いているかのように聴こえます。


森高千里 / 千里サンバ
1996年に短冊シングルCDのB面に収録されていた森高千里本人による作詞・作曲、歌詞の少ない小品ながら佳曲。軽いサンバのリズムに元気が出て、何もない日常の普遍と大切さを再確認。


うたのイワト Doppelzimmerライブ
Doppelzimmer1月のライブはシアターイワトのご好意でUSTREAM中継とそのアーカイブが残されています。実際に足を運び、素晴らしいライブだったのでその後も繰り返し聴きたいなあと個人的にアーカイブをmp3データにしてiTunesやiPodで聴いていました。あまりに何度も聴いているのでMCも暗記しそうなぐらい…。それを思い出して、事後報告にはなってしまったけれどシェアできたらと以下のアドレスにアップしていました。内容や音質はUSTREAMアーカイブと同じものです。AMラジオの音楽を聴くような具合でよかったらどうぞ。2時間ほどの中で古今東西、多くの素晴らしい曲が奏でられています。
http://www.mediafire.com/?gq7r75v11i5nr8u

リンク先ページ上に表示される以上の箇所をクリックでmp3データがダウンロードできます。

19WALTZ
http://cubismografico.blogspot.com/2011/03/19waltz.html
DJ/ミュージシャンのチャーベさんがポストしてくれたワルツ/3拍子のリズムの楽曲だけで(ほぼ)選曲された暖かく優しいDJ MIX。※ダウンロード期限が3月24日くらいまでのようです。

Sleepy Songs by doppelzimmer
この記事を書くつい前日深夜にアップロードされた、Doppelzimmer + momo椿のAnnieさんによるデモ録音の7曲入りミニ・アルバム。彼らの素早い行動に敬意と感謝。こちらのツイートのメッセージも。3月25日に早速祖師ケ谷大蔵のカフェ・ムリウイにて投げ銭ライブがあるそう。また彼らの演奏を聴けるのが楽しみだ。

<3月21日追記>
Sleepy Songs曲目リスト


詩:佐伯孝夫、曲:服部良一のペンにより戦後間近1948年に作られた「東京の屋根の下」。

山下達郎さん サンデーソングブック 2011年03月20日「震災特別プログラム」
http://yamashitatatsuro.blog78.fc2.com/blog-entry-176.html
素晴らしかった50分間の放送。全文起こしとプレイリスト。

わたしは元気です

zakki
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3月11日に発生した大地震による災害で亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。あわせて被災された皆様に心からお見舞い申し上げると同時に、今でも避難されている方々や、救援活動および社会インフラの復旧に努めていらっしゃる方々の健康や安全と、一日も早い日常生活の復旧、復興を願うばかりです。

自分はといえば初めて経験した大きな揺れには動揺し、心が挫けかけました。しかし幸運なことになんとか怪我や被害もなく、地震の日以降も元気に生活や仕事を行うことが出来ています。しかし災害にあわれた方たちの為に何も出来ない無力な自分を再確認しました。何も出来ない。それでもいつも通りの日常を暗くだんまりと過ごすよりは元気でいるうちは明るく過ごそうと心がけ、それが後々元気の無い人たちや自分達の将来に少しでもよく作用するのではないかと信じる毎日です。

インターネット上では以前から利用していたtwitterをはじめとするソーシャル・ネットワークにより、多くの友人や知人たちの安否を知ることになり安堵をしたり、また元気をもらうことが出来ました。日常生活と同じくこういった場での発言も暗いものにならないように(多少躁状態だったり不安が漏れてしまうこともありつつ…)投稿を、また多くの人たちの意見や考えを見ることが可能な場で、他者への「寛容」の気持ちをこれまで以上に保つことも心がけています。

そして今回の出来事がきっかけとなりこういった現代の「仕組み」が、ここ20年ほどで一気に閉塞感が充満した社会構造や、我々自身が綱渡り的におざなりにしていた様々な「安全」への価値や判断基準を大きく、また開放的に変えることを願って止みません。この社会に参加している我々自身もさらに思考を深め行動に移していくことが必要だと痛感しています。

色々と予定されていたイベントなども、楽しみにしていたものが延期や中止となると少し寂しい思いもします。そんな中13日の日曜日には参加しているアトリエ・エーは予定通り無事に行われ、多くの子どもたちや親御さん、スタッフの方々と会うことが出来、いつも通りの皆の笑顔に大きな元気を頂くことが出来ました。まだ余震により油断の出来ない状態ではあるかもしれませんが、心配の無い範囲で人に出会え、顔を合わせられるイベントがあるのは幸せなことです。またこういった状況の中飲食店や小売店が頑張って営業されていることに尊敬の念を抱きます。身近な経済が停滞することないよう、いつも以上に意識をして利用出来るよう努力できればと考えています。

あらためて日々を生きられること、それが家族や周りの多くの人達に支えられていることのなんと尊い事か。この気持ちを今後も忘れず大切にしていきたい。

どうか少しでも多くの人たちにいつもの笑顔が戻りますように。

今年初めてのDoppelzimmer

zakki
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昨年三度ほど、つたない文章ながら紹介した(その1その2その3)Doppelzimmer。今年初めての演奏は、神楽坂にある劇場シアターイワトの名物企画『うたのイワト』1月26日編で行うそう。

この企画が今回で一旦お休みとのことで、そのせいなのか、関係無いのか、ドッペルツィマーも二人に加え幾人かの追加メンバーを加えた豪華な編成で臨むそうで、どうも以前の根津教会で知れた方々のようだ。おだやかで、にぎやかで、室内楽然とした音像と古今東西の楽曲たち…今からとても楽しみにしている。

http://www.geocities.jp/doppelzimmers/
http://twitter.com/Doppelzimmer_

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